たった一人で奏でる壮大な音楽! パイプオルガンの魅力に迫る
教会や音楽ホールに鎮座するパイプオルガン。クリスマスシーズンになると、讃美歌や聖歌を奏でる音色を耳にする機会もあるかもしれません。でも、パイプオルガンを見たり聴いたりしたことはあっても、どんな楽器なのか実はよく知らない人が多...
海外渡航の見送りを余儀なくされた期間が続きましたが、徐々に入出国に関する規制が緩和されてきました。コロナ禍においては「オンライン留学」「オンライン語学レッスン」などの需要が増加、日本国内にいながら海外とつながる手段も数多く整備されました。しかし実際に現地に行かなければできない体験があるのも事実です。
神戸女学院大学ではコロナ禍を経て、3年ぶりに語学研修を実施しました。そこで今回は、いつもの「わからないから、おもしろい。」と趣向を変えた記事をお届け。語学研修に参加し、カナダを訪れた環境・バイオサイエンス学科4年生のTさんに、現地で感じたことをインタビュー。WEB上で多くの情報を得られる今、現地でどのようなことを感じたのでしょうか。
2022年8月に2週間半、トロントにあるヨーク大学附属の語学学校で過ごしたTさん。現地に着いてすぐに行われたのがキャンパスツアー。学内も車で移動するほど広大なヨーク大学の敷地を、コミュニティリーダーが案内してくれたのだそう。「私たち留学生をアテンドしてくれるコミュニティリーダーが5人いました。みなさんヨーク大学の学生さんです」
コミュニティリーダーによる留学生へのアテンドの仕方から、さっそく日本との違いを感じたTさん。「神戸女学院大学では留学生1人に対して2、3人のバディ(※)が付き、丁寧に説明をした上で、困ったことがあればいつでも相談に乗るよ、というスタンスなんです。ところがカナダでは、キャンパスツアーでぐるっと学内を回って終わり。わからないことは自分から聞かないと、誰も何も教えてくれません」
※留学生バディ 来日した留学生の学業や日常生活をサポートする神戸女学院大学のボランティア活動
その一例として挙げたのが、寮に入居してすぐに遭遇した困り事。「コインランドリーがあるはずなのに、まず場所がわかりません。ようやく場所がわかっても、今度は使い方がわからない。解決しないと進まないので、寮の管理人をしている現地の学生さん、ラウンジにいる他大学の日本人留学生、いろんな人に聞きながら、友人と協力しながら、なんとか乗り切りました」
空気を読む、察する・察してもらう、ということに慣れている日本人。お客様である旅行者とは違い、いち生活者となる留学生には、生活の初歩からカルチャーギャップの洗礼が待っていたようです。
カナダでの授業内容はというと、「平日9時から16時までが授業。午前中は発音クリニックとカナダの文化を知る授業。お昼に1時間休憩を挟んで、午後は16時までリスニングとスピーキングを行いました。英語ですごろくをしたり、午前中に学んだカナダの文化についてディスカッションをしたり。観光名所の連想ゲームをしたりという内容です」
こうしてみっちり勉強した後は、お楽しみのフリータイム。とにかく観光をしたかったTさんは、できる限り授業内に課題などを終えられるよう集中。授業後の夕方と滞在中4日間あった休日に、トロントの街に出かけたり、カナダの観光名所を訪れたそう。
「平日の授業が終わってからは、水族館や野球観戦、美術館などに行きました。オンタリオ美術館(Art Gallery of Ontario)は、美術感性を応援するという主旨で、ユース世代は無料になるんです。ただ、ネット予約が必要なのですが、サイトはもちろん英語。友人と一緒に何度も失敗しながらなんとか予約完了し、無事入館できた時は『ほんまに無料やったー』と喜び合いました」
休日には、語学研修の一環としてナイアガラの滝とカナダーズ・ワンダーランド(遊園地)へ。自由行動日にはセントローレンスマーケット、CNタワー、トロント島などに出かけたと、楽しそうに話すTさん。2週間半の滞在期間で、トロントの観光地は行きつくしたと言います。
このように積極的に街に出かけたTさん。「マスクをして、Googleマップを見て、観光客オーラ全開だったのに、他の旅行者の方から道を聞かれたんですよ」と街なかでの体験を語ってくれました。「私と同じように地下鉄からバスの乗り換えで迷っていた方で、途中まで一緒に行きました。まさか、自分がカナダ人に間違われるなんて、思ってもいませんでした」。元々移民が多いカナダは人種のるつぼ。“いかにも旅行者”な様相でも、住民と間違われるのは多人種国のカナダならではの体験なのかもしれません。「日本とは違い、外見だけでカナダ人なのか、旅行者なのか、私も区別がつかなかったです」
観光で訪れたカナダでも最大級の遊園地「カナダーズ・ワンダーランド」でも、日本とカナダの文化の違いを感じる出来事が。
「園内のファストフード店で、ポテトとフライドチキンを注文したんです。何も言わないとポテトのソースは付かないので、『ソースください!』って叫んだんですけれど、伝わらなくて。すると、隣にいた男性が『注文してあげるよ』と言って、まず、自分が持っていたソースを譲ってくれたんです。『譲ってくれてありがとうございます。すみません。』と伝えたら、『なんで謝るの?』って言われて。『待たせてるから』と答えると、『そんなの問題ないよ』って」。その後、男性も無事にソースをゲット。「『じゃあ、楽しんでね』と声をかけてくれたのが、とてもうれしくて」
スマートな対応に触れ、「謝るより楽しむ」精神を学んだというTさん。その話を聞きながら、たしかに日本では無意識のうちに「すみません」と言いがちだと気づかされます。
「日本ではお客さんはレジ係の人の目も見ない、ありがとうも言わない、ということがありますがカナダではレジの方とも、レストランの店員さんとも『Have a nice day!』『Have a good day!』と声を掛け合うことが当たり前なんです。お会計ひとつでも明るい気持ちになれますよね。今でも、どこのお店でどの店員さんとどんな話をした、と思い出せるくらいです。それに、店員さんだって人間だから間違えることはあります。間違っていても申し出れば正しいものが提供されますし、それでノープロブレム。必要以上に謝る必要はないんですよね」
店員も一人の人、客と店員は対等な立場という感覚が定着していると感じたそうです。
「フローズンの専門店に行った時に驚いたのが、店員さんがフローズンを飲みながら、フローズンを売るという(笑)。日本では絶対無理ですよね、ちょっとやってみたいけれど」となんとも楽しそう。
働く人もハッピーでいい。そんな考え方に日本ならではの細やかな仕事ぶりが融合すれば、より働きやすい環境、新しいサービスが生まれるのかもしれないと、Tさんの話を聞きながらふと思いました。
食生活はというと、語学学校の先生に教えてもらった安くて品揃えが豊富なスーパーによく買い出しに出かけたそう。カナダのスーパーはどんな感じなのでしょうか。
「一番の違いはサイズ。とにかく大きいんです。サラダも大きな容器にドンと入って日本円で1000円くらい、みたいな。アイスクリームも小分けサイズがない! 価格は体感として日本の2倍くらいでしょうか。量も多いので、お惣菜は友人とシェアしていました。意外だったのが、日本食の品揃えの豊富さ。カップラーメンもアイスクリームも、日本でおなじみのブランドも並んでいるのですが、バリエーションが日本より多いのには驚きました」
カナダの郷土料理で食べたものを聞いてみたところ、「プーティン」という料理を教えてくれました。
「プーティンは、フライドポテトにグレイビーソースと大量のチーズがかかっている料理。それから、チョコレートにクリームチーズとナッツを重ねた『ナナイモバー』というスイーツも食べました。私が食べたナナイモバーは棒にさしてあったのですが、重さはリンゴ飴くらい。甘さを極めた頂点といった味で(笑)、甘党の私でもびっくりしました」
サイズも味付けもダイナミックな料理が多いカナダ料理。途中で日本料理が恋しくなったというのも納得です。
今回、4年生のタイミングで語学研修に参加したTさん。「大学生になったら留学も海外旅行も楽しむつもりでしたが、まもなくコロナが始まってしまって。大学で留学が再開したのが、就職活動が落ち着いた4年生の春だったんです」
大学のサイトで国際交流の情報をチェックしていたところ、ちょうどカナダへの語学研修の募集が始まるところだったそう。「高校時代にカナダに留学した友人からカナダは治安もよくいい国だと聞いていましたし、英語の勉強をしているときにカナダの方が話す英語は聞き取りやすいと感じていたため“これだ!”と思い、申し込みました」と笑顔のTさん。
その後の渡航準備では、書類の記入に苦労したと言います。「通常の渡航手続きに加え、ワクチン3回接種の証明書、PCR検査の陰性証明、コロナ関連のアプリのダウンロードなどが大変で。不備があると空港で止められたり、最悪、入国拒否もあり得るので、一緒に語学研修に参加する友人と何度もチェックし合いました」
オンライン留学も盛んに行われている昨今。Tさんがリアルな語学研修を体験してよかったと思うのは何でしょう? そう聞いてみると、「いいところも悪いところも含めて、現地の生活のリアルを知れたこと」だと言います。「オンラインでも会話は可能ですが、やはり現地の空気を肌で感じることはできませんから」
WEBでさまざまな情報を得ることができ、世界がぐっと近くなったと言われる今、デジタルネイティブであるZ世代の“リアルな体験”を聞きながら、現地を訪れる魅力や重要性を改めて感じました。
(ライター:青柳 直子)
カナダを訪れた学生の、現地における視点や感性を紹介した今回。神戸女学院大学は創立以来、海外のさまざまな大学や機関と交流を深め、現在、留学に関する協定校・提携校は世界で100校以上にのぼります。短期の語学研修のほか、派遣留学や認定留学、中期の海外研修などを実施しています。10数年にわたるレポートから、時代や訪問国によって異なる学生の着眼点を読み解いてみるのは、いかがでしょうか。
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